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熊野古道大辺路 新庄峠

熊野古道 大辺路を歩く 道分け石~朝来駅

大潟神社
大潟神社

田辺の街なかに残る「道分け石」から、上富田町の朝来(あっそ)駅へ。舗装路ですが、車通りの少ない道も多く歩きやすいコースです。

ウォークマップ

熊野古道ウォークマップ 紀伊田辺駅~紀伊富田駅
熊野古道大辺路 新庄峠コース概要図

道分け石

道分け石は、紀伊路を南下してきた参詣道が、中辺路と大辺路に分かれるところにある道標です。紀伊田辺駅から徒歩10分程度の商店街のなかにあり、ここからスタートします。「左くまの道」の下に小さく「すぐは大へち」と書かれています。商店街をそのまま駅前通りに向けて歩きます。

道分け石
道分け石

田辺の街なかを行く

商店街は少し右に曲がりすぐに「蟻通神社」があります。その付近から商店街の裏側にあたる「味光路」の飲食店街に入ります。両側に飲食店が立ち並ぶ狭い道です。駅前の大通りを横断し、つぶり坂方面に向かいます。
つぶり坂付近は国道になり(現在は県道424号)道路が拡幅されたので、熊野古道の面影はありません。そのまま旧国道を新庄町の橋谷交差点まで進みます。

街なかの熊野古道
街なかの熊野古道

生活の道・新庄の大辺路

つぶり坂より旧国道42号線(現県道31号線)を約900m。橋谷交差点の手前から左斜めに旧道があります。ここが近世の熊野古道といわれています。
ここからは舗装路ですが狭くなっています。両側に民家が隙間なく立ち並んでおり、かつては村の中心道となっていた雰囲気が残ります。
現在の旧国道が海側を通っているのは、干潟を埋め立てたところを直線的に通っているためです。
熊野古道は橋谷川の小さな橋を渡り、再び旧国道と交差します。交差するところに、この付近では珍しいらせん階段の歩道橋があります。旧国道ができたときに、それまで村の主要道だった道を安全に渡れるように作られたものと思われます。

交差したところからも細い民家の間の道が続きます。ほどなく名喜里川沿いに出て、名喜里の交差点があります。ここで再び旧国道を渡り、名喜里川にそって進むと、JAの手前右にある名喜里川にかかる小橋(天王橋)を渡ります。ここからも民家が両側に並ぶ通りです。

通りを進んでいくと、やがて左側に「大潟神社」の鳥居があります。熊野古道はすぐ右の細い坂道で、通称「馬道」と呼ばれます。

新庄地区内の大辺路

大潟神社

ここは少し寄り道して、そのまま鳥居をくぐって石段を上り、大潟神社に立ち寄ってみましょう。
大辺路には中辺路のような「王子」はありませんが、この大潟神社も王子と同じような役割を持っていたようです。
大潟神社は平成10年、台風によって大きな被害を受けましたが、地元の信仰が厚く、現在は立派な社殿が建てられています。

大潟神社
大潟神社

大潟神社からふたたび石段を降り、すぐ横の馬道を上っていきます。急坂ですが、「馬道」と呼ばれるくらいなので、当時の幹線道路だったようです。
上っていくと、眼下に国道42号線のバイパス道が見えます。もともとの道は、バイパス道の掘割で分断されました。馬道はバイパス道の上にかかる跨線橋を渡ります。これも大事な道だったなごりでしょうか。

大潟神社から新庄峠へのルートマップ

道分け地蔵

すぐに車道に合流しそのまま進むと、道端に「道分け地蔵」があります。高さ40cmほどの小さな地蔵像ですが、「右ハ大へち道」「左ハ熊野道」とあり、ここからも中辺路方面に分岐していたようです。

道分け地蔵
道分け地蔵
道分け地蔵の文字
道分け地蔵の文字

新庄峠

その先、建材会社の角を右に曲がり少し進むと、ボタン工場などが見えてきます。ボタン工場の裏手の山を上る細い舗装路があります。この付近から古くの「新庄峠(朝来峠)」の道です。細い舗装路は右に曲がって民家がありますが、そのまま直進して山道に入ります。古道らしい雰囲気のある道になります。
比較的平坦な道ですが、少し切り下げて通りやすくした「掘割」があります。

新庄峠の掘割
新庄峠の掘割

現在の熊野街道に合流

新庄峠を境に、旧新庄村から現在の上富田町朝来(あっそ)に入ります。新庄峠を過ぎると、ほどなく視界が開け、現在の国道42号線に向かって下っていきます。
国道42号線は、峠の下をトンネルで通っていたのですが、近年切り下げられ道路が拡幅されました。規模の大小はありますが、昔も今も重要な道は切り下げて通りやすくすることは変わっていません。

糠塚

糠塚

国道42号線に合流した後は、国道の緩やかな坂道を下っていきます。下りきったあたりに一里塚があったと伝えられる「糠塚」があるので、そのあたりを通っていたと思われます。
糠塚には、橋に使っていた板石を使った碑があります。よく見ると、轍の跡が残っています。
この付近は沼地だったようで、水田化による耕地整理などで変わってしまったため、はっきりとした古道はわからないようです。このまま国道42号線を朝来駅方面に向かいます。

朝来駅付近からは、富田川をいろいろなところで渡っていました。 朝来駅付近から近いところや、そのまま川沿いに下流に歩き、「血深の渡し」付近で渡ったりしたようです。
富田川を渡り「日神社」を経て、「富田坂」の入り口にある草堂寺へと到着します。